タイトル:一週間後 vol.1
(魔女のものがたりです)
今回は、少しだけ怖い話しかもしれません。
怖い話が苦手な人は、読むのを控えてください。
登場人物:
川神 梨紗子(カワカミ リサコ) ... R。魔女見習い → 魔女試験十級
Y ... 川神 梨紗子の師匠で、なんでも屋
その他 ...
本文:
その日、リサコは、自分の部屋で勉強をしていた。
リサコ「なんで勉強しなければならないんだろう……」
リサコは、頬杖をつきながらつぶやいた。
その時、窓の外を霊がすーっと通りすぎていった。
リサコは、(時々、)霊が見えた。
リサコ「霊には、学校なんて無いんだろうな」
リサコは、本棚の裏に隠してあった魔法のテキストを手に取ると、それを開いた。
リサコ「あーあ……。
何か良い魔法は無いかな」
”なんでも願いをかなえてくれる魔法”というのがあった。
リサコが、その呪文を唱えると、一人の魔女が出てきた。
”過去に魔法で悪さをした魔女たちの中には、
決められた回数、
自分を呪文で呼び出した相手の言うことをきかなければならないという罰を与えられている者がいた。
その魔女も、その一人だった。”
魔女「どんなご用でしょう?」
魔女は、うやうやしくリサコに言った。
リサコ「学校に行かなくてもよくて、努力しなくてもお気楽に生活していけるようにしてもらえますか?」
魔女は、リサコの言葉を聞くと呆れ顔になった。
先ほどの霊が、また窓の外をすーっと流れていった。
リサコ「うーん……。霊には、学校なんて無さそうですよね……」
リサコは、ぽつりと言った。
それを聞いた魔女は、言った。
魔女「では、少しの間、霊と入れかわるというのはどうでしょう?」
リサコ「それ、いいかもしれないですね?」
リサコは、笑いながら言った。
魔女「分かりました。では、私が消えて3秒後に、霊とあなたは入れかわります」
そう言うと、魔女はリサコの前から消えた。
リサコ「え?」
その3秒後、先ほどの霊がリサコの前に現れ、すぐにリサコと入れかわった。
リサコは霊に、霊はリサコになった。
霊になったリサコ「本当に幽霊になっちゃった。
でも、たまにはいいでしょう」
霊になったリサコは、お気楽に笑った。
リサコになった霊は、部屋の中をキョロキョロ見回していた。
霊になったリサコ「じゃあ、しばらくお願いね」
霊になったリサコは、リサコになった霊にそう言うと、窓ガラスをすりぬけて外に出ていった。
霊になったリサコは、その日から、空をただよいながら一日をのんびり過ごすようになった。
地縛霊はそこから離れられないが、リサコはそうではないので好きなところに行けた。
リサコになった霊は、リサコの代わりに毎日学校に行った。慣れない学校生活は大変だったが、それなりに楽しんだ。
霊になったリサコは、毎日好きなところに行き、気楽に過ごしていたが、何日かすると霊でいることに飽きてきた。
つづく
あとがき:
フィクションです。
読んでいただき、ありがとうございます。
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